永峰式チーム分析
~組織を「生命体」として解き明かす三元構造~

永峰式チーム分析とは、占いや性格分類、相性論を目的とするものではない。
本手法は、古代マヤ暦に含まれる知恵から吉凶や運勢といった要素を取り除き、現代の組織やチーム運営に適用できるよう再構築した永峰式マヤロジックシステムを基盤として構築された、チーム分析のための方法論である。
個人の性質を断定するのではなく、チーム全体を一つの構造体として捉え、その状態や傾向を理解するための分析手法として定義される。
従来のチーム分析は、多くの場合、成果や結果を基準とした事後的な評価に依存している。
統計的なアプローチは入力と出力の関係性を捉えることには有効である一方、チーム内部で生じる特性の偏りや、役割・関係性の影響までは十分に反映できない。また、個人分析を積み重ねる方法では、個人がチームという環境に置かれた際に生じる相互作用や変化を捉えることが難しい。
さらに、チーム内のすべての関係性を個別に分析し、それらを組み合わせて全体像を導くことは、理論的にも実務的にも非現実的である。
永峰式チーム分析の核となる考え方は、チームを「人」として捉える三元構造の視点にある。
本手法では、分析結果を結論として提示するのではなく、状況を理解するためのレンズとして活用する。チームを一人の人物として捉えることで、ミクロな要素に過度に囚われることなく、マクロな視点からチーム運営を行うことが可能となる。
この方法論は、複数の分析枠組みによって構成されている。
組織方位循環法では、古代マヤの方位概念を応用し、チーム内におけるリソースやタスクの分散状態を把握する。仕事の流れを企画・運営・結果という循環として捉えることで、停滞や過剰が生じている箇所を構造的に認識することができる。
組織方位人格法では、チームを人格として捉えることで、強みや課題を可視化し、リーダーが方向性を定めやすくする。これにより、チーム内外へのメッセージにも一貫性が生まれ、外部からの圧力や変化に対しても、チーム人格を通した対応が可能となる。
さらに、組織循環暦法では、チームを人物として扱うことにより、日々のエネルギー変化をチーム運営の指針として活用する。日々の分析結果は「答え」ではなく「問い」として提示され、行動や判断のきっかけを生み出す。また、暦の周期を活用することで、計画立案やマイルストーン設定にも応用でき、メンバーの入れ替わりがあっても計算によって即座にチーム特性へ反映される。
永峰式チーム分析は、チームでの活動においてリーダーの負担が大きく、停滞の原因が見えにくい状況において特に有効である。
一方で、本手法は答えや結論を提示するものではない。分析結果は判断や行動を支援する情報として提供されるため、主体的にチームと向き合い、戦略的に運営したいと考える人に向いている。
意思決定や運営を他者に委ねたい、あるいは即時的な解決策のみを求める場合には、本手法は適していない。
組織は「個の集合」ではなく「一つの生命体」である
現代の組織論において、チームはしばしば「個人の能力(スキル)の積み上げ」として語られます。しかし、優れた個性が集まりながらも、なぜか停滞し、循環が止まってしまう組織が後を絶ちません。
「永峰式チーム分析」は、永峰式マヤロジックシステム(MLS)を基盤とし、組織を「空間・存在・時間」という三つの異なる視点から解析します。これらはどれか一つが優れているというものではなく、異なる角度から光を当てることで、組織という生命体の真の姿を立体的に浮かび上がらせるためのものです。
私たちは、アンケートによる性格診断のような主観的なデータではなく、生年月日という「変わることのない定数」を用い、三つのアプローチを統合して組織の「淀みなき循環」をデザインします。
三つの異なる解析アプローチ(The Three Perspectives)
永峰式チーム分析は、以下の三つの独立した技法(メソッド)を組み合わせて行います。
| アプローチ | 核心技法 (Method) | 解析の視点 |
| 空間 (Space) | 組織方位循環法 | 「構造」の視点:4方位(東・北・西・南)のリソース分散を特定し、エネルギーの目詰まりや運営のボトルネックを可視化。構造的な課題への的確なアプローチを導きます。 |
| 存在 (Being) | 組織人格分析法 | 「本質」の視点:チームを一人の人格として統合。その組織が本来持つ性質や、進むべき方向性、そして向き合うべき独自の課題(アイデンティティ)を明確にします。 |
| 時間 (Time) | 組織循環暦法 | 「潮流」の視点:組織人格のバイオリズムを読み解き、日々のエネルギーがチームに投げかける「問い」を理解します。今、何に向き合うべきかという時間的戦略を提示します。 |
組織を動かすための「確信ある戦略」
これら三つのアプローチを統合することで、リーダーは場当たり的な対策ではなく、構造に根ざした一貫性のある戦略を立てることが可能になります。
- 空間(Space)を知る: 方位によって定められた不変のポジションに基づき、リソースの偏りや流れの滞りを分析します。運営上のボトルネックに対し、場当たり的な指導ではない「構造的解決」を打つことができます。
- 存在(Being)を知る: チームが統合されて生まれた「人格」を理解することで、組織としての明確な方向性を共有できます。自組織が抱えやすい課題をあらかじめ認識し、ブレのないアイデンティティを確立します。
- 時間(Time)を知る: 移り変わるエネルギーをチームへの「問い」として捉えることで、闇雲に動くのではなく、その時々の波に応じた最適な振る舞いや意思決定を選択できます。
実装と解説
本ページでは、永峰式チーム分析を構成するこれら三つの解析論理について、順を補って詳しく解説します。
- [アプローチ1:組織方位循環法(空間)の詳細]
- [アプローチ2:組織人格分析法(存在)の詳細]
- [アプローチ3:組織循環暦法(時間)の詳細]
1. 組織方位循環法(Space / Directional Dynamics)
リソースのマッピングと「淀み」の構造解析
組織方位循環法は、メンバー個々人が持つ不変の資質(NAWAL)を「東・北・西・南」の4方位エネルギーにマッピングし、組織という構造におけるリソースの偏りとエネルギーの流動性を解析する技法です。
この解析の目的は、単に誰がどこにいるかを知ることではなく、「なぜこの組織はここで疲弊するのか」、「なぜこの組織はここで停滞するのか」という構造的なボトルネックを特定することにあります。
4方位リソースの定義と役割
エネルギーは「東→北→西→南」の順で反時計回りに循環することで、物事を形にしていきます。各方位には、組織運営における固有の役割(リソース)が存在します。
| 方位 | 役割(リソースの性質) | 組織における機能 |
| 東 (East) | 発想・突破 | 新たな火を灯す。ゼロからイチを生み出し、閉塞感を打破する力。 |
| 北 (North) | 設計・研磨 | 情報を整理し、本質を見抜く。戦略を練り、無駄を削ぎ落とす規律の力。 |
| 西 (West) | 運営・変容 | 現場を動かし、形を変えながら定着させる。実務を完遂する力。 |
| 南 (South) | 結実・着地 | 結果を刈り取り、次へと繋げる。感情をケアし、調和の中で着地させる力。 |
エネルギーの流れから見るボトルネックの分析
組織方位循環法では、以下の2つの視点から組織の課題(目詰まり)を可視化します。
① リソースの欠落による「断絶」
特定の方位にメンバーが極端に少ない場合、エネルギーのバトンタッチができなくなります。
- 例:北(設計)の欠落:発想(東)は素晴らしいが、具体策やルールがないまま実行(西)に移り、現場が混乱する。
- 例:南(着地)の欠落:実行(西)はするが、成果の検証やメンバーの労いが疎かになり、組織が疲弊して次へ進めない。
② エネルギーの過多による「逆流・停滞」
特定の方位にリソースが集中しすぎると、エネルギーがその場に留まり、次のフェーズへ進むのを阻害します。
- 例:北(設計)の過多:分析や議論ばかりが先行し(評論家集団)、いつまでも実行(西)のフェーズに移行できない「分析麻痺」の状態。
構造的アプローチによる解決
方位は生年月日による「定数」であるため、メンバーの性格を無理に変える必要はありません。組織方位循環法によってボトルネック(断絶や停滞)が特定された場合、リーダーは以下の2つの戦略的なアプローチを検討します。
① リソースの外部投入(バイパス・拡張)
不足している方位のエネルギーを、文字通り「外」から補完する手法です。
- 具体策: 新たなメンバーの採用、または外部パートナー・コンサルタントの活用。
- 効果: 組織内に存在しなかった「回路」を物理的に新設し、エネルギーを強制的に次へと流します。
② 代理リソースのアサイン(内部補完)
現在のメンバーの中から、不足している方位の「知識」や「経験」を持つ人物を、代理の役割としてアサインする手法です。
- 具体策: 本質的な資質(方位)は異なるが、過去の経歴や学びによってその役割を演じられるメンバーを、そのフェーズの主導に置く。
- 重要事項: 代理リソースはあくまで「後天的なスキル」で対応している状態であり、本質的なエネルギー(方位)とは異なります。そのため、過度な負荷を避け、他のメンバーによる意識的なサポートやフォロー体制をセットで構築することが、循環を維持する絶対条件となります。
「なぜか上手くいかない」という漠然とした不安を、「どこの流れが繋がっていないのか」という明確な構造課題へと変換し、現実的な打ち手を選択するのが、この技法の本質です。
2. 組織人格分析法(Being / Identity Analysis)
チームを「一人の人格」として捉え、アイデンティティを特定する
組織人格分析法は、個々のメンバーの資質を数理的に統合し、チームを一人の独立した生命体(チーム人格)として定義する技法です。ここでは、細かい計算ロジックよりも、「形成されたチーム人格というレンズを通して何が見えるか」を重視します。
チーム人格という「レンズ」による洞察
チームメンバー全員のNAWALと数字を統合すると、そこに一つの「チーム人格」が浮かび上がります。この人格は、個人の集合体とは異なる独自の性質を持ち、以下の3つの視点(レンズ)を与えてくれます。
- 方向性の明確化:このチーム人格が本来どこに向かおうとしているのか、その本質的な目的(NAWAL)を特定します。
- 潜在的課題の予見:チーム人格が抱えやすい葛藤や弱点を、レンズを通して客観的に捉えます。
- チームの強みの抽出:この人格だからこそ発揮できる、固有の推進力(数字)を明らかにします。
リーダーの言葉に「数理的根拠」という盾を
この技法の最大の強みは、リーダーのコミュニケーションに変革をもたらす点にあります。
リーダーがメンバーや外部に対してメッセージを発信するとき、自分の言葉を「チーム人格(数理モデル)のレンズを通した言葉」として伝えることができます。NAWALや数字が持つエネルギーを言語化して活用することで、以下のような効果が生まれます。
- メッセージの純度向上:主観を排し、チームの本質に根ざした一貫性のあるメッセージを届けることができます。
- リーダーの心的負担の軽減:たとえオーディエンスの反応が芳しくなかったとしても、それはリーダー個人の資質が否定されたわけではありません。あくまで「チーム人格としての表現」をした結果であり、数理モデルがリーダーを支える「盾」となります。
- 「私」から「私たち(チーム人格)」へ:リーダーが責められているという感覚から解放され、より俯瞰的で冷静な指揮が可能になります。
構造(方位)と存在(人格)の分離
組織方位循環法が「エネルギーの目詰まり(構造)」を治すための外科的なアプローチであるのに対し、この組織人格分析法は「自分たちは何者か(存在)」というアイデンティティを確立するための内科的・精神的なアプローチです。
この2つを分けて捉えることで、リーダーは「仕組みの改善」と「存在の肯定」を両立させ、確固たる自信を持って組織を導くことができるようになります。
3. 組織循環暦法(Time / Strategic Cyclicity)
チームの「潮流」を読み解き、行動のガイドラインを得る
組織循環暦法は、特定された「チーム人格」のNAWALと数字を基盤に、ツォルキン暦の各日と共鳴させることで、チーム独自のサイクルを算出する技法です。これは「パーソナル・ツォルキン」の理論を組織人格に適用したものであり、チームという一つの生命体が持つバイオリズムを可視化します。
日々のエネルギーを「チームへの問い」として受け取る
この技法の核心は、未来を予測することではなく、「今、この瞬間のエネルギーがチームにどのようなアプローチを求めているか」というガイドラインを得ることにあります。
チーム人格のツォルキンサイクルを算出することで、日々のエネルギーはチームに対する具体的な「問い」へと変換されます。何かアクションを起こす際、あるいは課題に直面した際、このサイクルを参照することで、その局面に最適なアプローチを選択することが可能になります。
戦略的タイミングの決定と「苦手」の克服
組織循環暦法を活用することで、リーダーは以下のような実戦的な意思決定を行うことができます。
- マイルストーンの設計:プロジェクトの節目をトレセーナ(13日間周期)に合わせ、エネルギーの波に乗った進捗管理を行う。
- タイミングの最適化:重要な会議、新プロジェクトの発表、あるいは外部へのメッセージ発信などを、チーム人格のエネルギーが最も活性化するタイミングに設定する。
- 「先送り」からの脱却:苦手なタスクや困難な交渉であっても、感情で先延ばしにするのではなく、サイクル上の「適切な実行日」をあらかじめ決定しておくことで、規律ある組織運営が可能になります。
組織を「時間の波」に乗せる
組織方位循環法が「空間」を整え、組織人格分析法が「存在」を定義したなら、この組織循環暦法は、その組織をいつ、どのように動かすかという「時間」の海図を提供します。
チーム人格というレンズを通し、ツォルキンという宇宙の律動に組織を同調させることで、無理な力に頼らない「淀みなき循環」が完成します。
補足:チームメンバーの変更と「組織人格の再定義」
組織は固定されたものではなく、代謝を繰り返す「流動的な生命体」です。メンバーの加入や離脱が発生した際、永峰式チーム分析においては、組織方位循環法・組織人格分析法・組織循環暦法のすべてを再構築します。
なぜ、すべてを計算し直すのか
新しいメンバーが一人加わる、あるいは一人が去る。その瞬間、チームの「雰囲気」がガラリと変わるのを、多くのリーダーが経験しているはずです。
これは単なる気分の問題ではありません。構成要素(NAWAL)が変わることで、数理的に導き出される「エネルギーの回路(空間)」も「統合された人格(存在)」も「巡るバイオリズム(時間)」も、全く別の新しい個体へと進化(あるいは変化)したことを意味します。
変化を「可視化」し、迷いをなくす
メンバーが変わった際、リーダーは「新しいチームをどう導くべきか」という新たな壁に直面します。この時、永峰式チーム分析を再実行することで、以下の変化を客観的に捉えることができます。
- 空間の変化:新メンバーによって「新たな回路」が繋がったのか、あるいは以前より「目詰まり」しやすくなった箇所はどこか。
- 存在の変化:チームとしての新しい「レンズ(方向性・課題)」はどう変わったのか。リーダーは言葉のトーンをどう微調整すべきか。
- 時間の変化:新しいチーム人格が刻むリズム(問い)は、以前とどうズレが生じたのか。
経験則を論理で裏付ける
「人が変わればチームが変わる」という、誰もが体感している普遍的な現象。永峰式チーム分析は、その変化を「なんとなく」で終わらせません。
再構築されたデータは、変化に対する漠然とした不安を、「新しいチーム人格との対話」という明確な戦略へと昇華させます。メンバーの入れ替わりを「組織の停滞」にするのではなく、新しい人格としての「再始動(リブート)」として捉え直すための、極めて実戦的なガイドラインとなるのです。