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永峰式マヤロジックシステム体系の誕生ストーリー

― 技術者が辿り着いた“暦という哲学体系”の創造 ―

私は長年、半導体産業の最前線で技術に携わってきた。
論理と実証を前提とする世界に生きていたため、
占いには興味もなく、見てもらったことすらなかった。

そんな私が人生のどこかで「暦」を通して世界を理解しなおすことになるとは、
当時は想像すらしていなかった。

1. 占いとは無縁の技術者が算命学に触れた最初の瞬間

転機となったのは、あるシステム開発案件だった。
算命学のロジックを組み込む必要があり、私は資料を読み解きながら
その構造を理解し、コードとして実装していった。

興味があったわけではない。
「正しく動くシステムをつくること」が目的だった。

しかし、開発を進めるうちに、干支(十干十二支)の語源を調べる機会が訪れる。
そこで目にした昭和初期の論文が、すべての始まりだった。

2. 干支は“植物の成長サイクル”であるという衝撃

干支の漢字の原義を紐解くと、それは単なる記号ではなく、
植物の成長を表すサイクルであることが分かった。

芽が出て、伸び、繁り、成熟し、枯れ、種となり、次へと受け継がれていく。
そこには「物事の栄枯盛衰」の自然法則があり、
陰陽論や五行が示す“循環の哲学”が息づいていた。

この発見は私にとって大きな衝撃だった。
干支を“占い”として消費するのではなく、
自然のサイクルを抽象化した思想体系として理解すべきではないか――
そう感じ始めた瞬間だった。

3. サイクルをビジネスのフレームへ応用するという発想

もし、このサイクルを現代に応用することができれば、
ビジネスにおける商品・組織・プロジェクトのフェーズを
俯瞰的に把握できるのではないか。

  • 今は発芽期なのか
  • 成長期なのか
  • 収穫期なのか
  • それとも更新のタイミングなのか

こうした“位置づけ”さえ分かれば、
次に打つべき手が見える。

しかし問題があった。
干支のサイクルは 60年・60ヶ月・60日という単位であり、
日常の目標管理という視点からは長すぎたり短すぎたりする。

4. 260日のマヤ暦との運命的な出会い

「では、日常で使えるサイクルとは何か?」

そんな問いを抱えていた頃、偶然目にしたのが古代マヤの暦だった。
260日周期の“Tzolkin(ツォルキン)”である。

260日は、1年のように長すぎず、
60日のように短すぎず、
人が目標を掲げ、創造し、振り返るには
絶妙な長さだった。

私はすぐに論文と資料を集め、独学でマヤの体系を調べ始めた。

5. マヤ暦の解像度との格闘

― 260パターンの壁からの突破 ―

古代マヤの解釈は、20のNAWALと1〜13の数字の組み合わせが中心である。
だが、その象徴は干支のように単一ではなく「多義的」であり、
深い象徴性をもつがゆえに扱いが難しい。

さらに、算命学のように
60×60×60といった膨大な組み合わせを持つ体系と比べると、
マヤ暦の 260 パターンは解像度が低すぎるように感じられた。

そこから、「深さ」を求める探求が始まった。

6. Calendar Round・Underworld・Lord of Night

― マヤとアステカの知恵を統合し解像度が飛躍する―

調べていくうちに、次々と重要な概念に出会う。

  • Calendar Roundの Lord of Year
  • 9のUnderworld(深層意識)
  • Aztecの Lord of Night(9夜)

アステカはマヤと同じ260日の暦を用いており、
両者の夜の神(Lord of Night)は一致していた。

この「夜の神」は
“隠れた感情”や“深層の動き”を示すレイヤーとして機能し得る。

こうして解像度は
260 × 13 × 4 × 9
という構造まで拡張された。

「暦は占いではなく、複層的な分析体系である」
その確信が強まっていった。

7. NAWALの語源・象徴を言語学的に解釈する

さらに理解を深めるため、
K’iche語の語彙、象形文字、元来の意味を徹底的に調べた。

そして分かったことは、
NAWAL の象徴は占い的な“単語”ではなく、
自然の働き、生命の運動、心の状態を表す多層的なシンボルであるということだ。

これが、後の「レンズとしてのNAWAL解釈」につながっていく。

8. 問題意識:

暦は“占い”ではないのに、なぜ占いとして扱われてしまうのか

多くの人は暦を「占い」と混同してしまう。
しかし暦に含まれるのは、本来、

  • 自然観
  • 哲学
  • 心理学
  • 行動学
  • 世界観

といった、深く豊かな知恵である。

にもかかわらず、
「今日の運勢」「あなたの性格は〇〇」といった
単純化された枠に押し込められてしまう。

私はここに大きな問題意識を抱いた。

暦に含まれる叡智は、
本来もっと実生活を豊かにするもののはずだ。

9. バーナム効果を超えるための発想

― “当たる/当たらない”から、“レンズで見る”へ―

占いが陥りがちな問題は、
“当たる/当たらない”という二元論に落ちてしまうことだ。

そこに「制約の中の自由」という思想が重なった。

分析結果とは未来の決定ではなく、
ものごとを見るためのレンズ(視点)であり、
レンズが提示する制約の中にこそ、
新しい選択と創造が生まれる。

暦の役割は「運命を固定すること」ではなく、
気づきを広げ、行動を柔軟にすることだ。

こう考えたとき、古代マヤの概念は運勢を切り離し、
マインドフルネスのアプローチと自然に結びついた。

10. 永峰式マヤロジック体系(MLS)の誕生

― “生きた哲学”としての暦の再構築―

こうして私は、

  • 暦のサイクル哲学
  • 干支の自然法則
  • 陰陽五行の思考
  • マインドフルネスの意識モデル
  • 深層心理的アプローチ
  • マヤとアステカの複合構造
  • 数学的・構造的な分析手法

これらを統合し、
日常で使える「気づきと選択のフレームワーク」として
永峰式マヤロジック体系(MLS)を構築した。

私はマヤを学んだことはない。
99%は英語圏の論文・資料・Web情報を独学で精読し、
論理的に再構成した体系である。

技術者としての思考習慣と、
研究者としての curiosity が導いた、
独自の暦哲学体系の誕生だった。